私は指定管理者制度を取り入れているテーマパークで働いていました。
好きな仕事で人間関係も良好でした。
しかし、指定管理者制度を取り入れている施設は何年かおきに経営者が変わります。
そのため、その施設で働いている人はずっと契約社員かアルバイトで正社員にはなれないのです。
また、新しい経営者に代わる最後の年はあまり投資をしなくなるため、
箒などのちょっとした備品も買ってもらえなくなったり、
アルバイトの人は出勤日数を減らされるようになります。
私は、その最後の年が来る1年前に辞めようと思いました。
テーマパークなので繁忙期(3月~11月)と閑散期(12月~2月)があり、
繁忙期には残業代などがつくため、閑散期に比べて給料が上がります。
雇用保険の基本手当日額は仕事をやめる前の6か月の賃金と年齢で決まるため、
給料の多い繁忙期をすべて含む9月に辞めることにしました。
「辞めるときは2か月前までに言って」と直属の上司に言われていたため、
2か月前の7月末に直属の上司と所長、人事に9月いっぱいで辞めることを伝えました。
引き止められましたが、理由を言うと納得してくれました。
その2週間後のことです。
夕方、私は人事の人に呼び出されました。
行くとそこには、人事の人と所長が座っていました。
机の上には退職届がおいてありました。
私が提出したのは退職願でした。
人事の人が話し出しました。
「昨日、Tさん(直属の上司)が退職届を持ってきた。8月いっぱいでやめるそうだ。
Tさんが辞めると、部署長がいなくなってしまうんだ。君が部署長になってくれないか。」
「あの…私、9月いっぱいでやめるんですけど…」
「その話は知っている。君にやってもらいたいんだ。給料は、Tさん以上にするから。」
と、雇用契約書を提示してきました。
見ると、確かにTさん以上の額でした。
部署長は私がずっとつきたいと思っていたポストでした。
厳しい経営の中、最後の1年だけ部署長をやるか、今のタイミングで辞めるか、私の心は揺らぎました。
「急に言われましても…家で考えてきます。」
「そうだよな。急に言われても困るよね。分かった。1週間くらい待つ。
いい返事を待っている。」
その次の日から毎日2人に引き止められ、返事を急かされました。
私は悩んだ挙句、部署長を引き受けることにしました。
でも、どう頑張ってもあと1年ちょっとだけなのです。
どうしても最後の年に入る前にやめたいという思いは消えませんでした。
雇用契約書を見ると、今まで通りの1年更新。
3月に更新する旨が書かれていました。
私は、この契約更新の時に辞めることにしました。
前と同じ理由ではやめられないなと思い、考えていたところ、
タイミングよく夫が4月から転勤になり、引っ越さないといけないことになりました。
引っ越し先からは通えない距離なので、これを理由に3月いっぱいで退職ができました。