もう、30年以上前になりますが、高校生の時、
自分の将来の具体的な夢を持っていない私でした。
キャンパスライフに憧れ、大学進学を夢見ていたときもありましたが、
私の実家はとても貧しく、進学したいという気持ちを素直に両親に伝えることもできませんでした。
とにかく早く働いて家の為になりたいと、就職の道を選んだのです。
就職先は地元の金融機関でした。
普通高校で進学のために勉強はしていましたが、
コンピューターやそろばんに長けているわけでもなく、
ただ、安定しているからと選んだ職でした。
当時はバブル真っ盛り、そのバブルの影響もあってか、
女性銀行員は結婚退職が暗黙の了解であったのです。
今では、女性の再就職も当たり前になり、
年配の女性銀行員もちらほら見えるようになりましたが、
当時は若い女性が窓口業務をしているのが当たり前でした。
私は窓口ではなく、少し奥のスペースにいる預金業務の仕事をしていました。
仕事はまあまあ楽しく毎日楽しく出勤していました。
しかし数年の経つうちに、「この仕事は、結婚退職を望まれ、長く務められない」
ということに不満を持つようになりました。
私は結婚願望がなく、仕事をしたいという思いが強かったからです。
思えば就職したときにもう少ししっかり考えればよかったのです。
安易に職を決めた自分を後悔しました。
そして私は転職を決意したのです。
新しく持った夢は看護師でした。
これは本当に強い決意がないと続きません。
なぜなら正看護師の道は、最長5年専門学校に行く必要があったからです。
私は家の経済状態を考えて自分で働きながら学校に行くことを決めました。
若さはやっぱり素晴らしいのかもしれません。
色々な不安を考えることなく、
えいやと清水の舞台から飛び降りる勢いで全てを決断してきました。
幸い上司は私の決意を応援してくれました。
「簡単な道ではないことは私が言うまでもない。
でも、やりたいと思った時がチャンスだよ。頑張りなさい」
と励ましていただきました。
かなりの決意をもって臨みましたが、定時制の看護学校で勉強をしながら、
病院ヘルパーとしてで働くというのは本当に大変なことでした。
朝早くから、夜遅くまで雑用を命じられ、
終わって一息つく暇もなく、テストの勉強が待っています。
今考えてもなんであの時くじけずに頑張れたか不思議なくらいです。
その後、仲間や先生、先輩たちのおかげで、
何とか5年間学校に通い、正看護師の免許を取ることが出来ました。
今は結婚出産を経て、看護師の仕事を続けています。
今となっては、「資格のある仕事でいいね」とまわりの主婦仲間から言われています。
「そうだね」と答えますが、
「ここまでの道のりは本当に大変だったんだよー」と心の中でつぶやいたりします。
資格のある職と選んだ看護師の道ですが、本当にやりがいがあり、素晴らしい職です。
あの時決断し頑張った自分に、「転職してよかったよ。よく頑張ったね」、
と伝えてあげたいです。