私の友人は専門学校を卒業したあと、とある映像制作会社に就職しました。
結婚式で流すムービーを作ったり、地元企業のPR動画を作成したりする会社です。
友人は昔から「映像に関わる仕事がしたい」と言っていたので、
本人の希望通りの結果になったわけです。
古くから付き合いのある私や、他の同級生もみんな友人の旅立ちを応援していました。
ところが、友人が就職して半年が経った頃の同窓会で、
やつれたような彼女の姿に大変驚かされたのです。
「自分の好きな道に進んだのにどうしたの?」と聞いたところ、
抱えている業務が多すぎて、毎日日付が変わるまで家に帰れないようでした。
まともな食事もとれず、飲み物ばかり飲んでいるそうなのです。
とても心配でしたが、友人が平気だと言うので、それ以上の詮索はできませんでした。
それからさらに1年が経ち、友人はついに転職を決意しました。
現在勤めている会社は地元からかなり離れていて、
飛行機を使ってもすぐに移動できる距離ではありません。
身体のことを考え、実家がある街で同じ職種の仕事を探すことにしたのです。
友人は交友関係が広いため、転職先はすぐに見つかったそうです。
転職サイトを使ったり、知り合いのツテに頼って、
かなり良い条件の会社を見つけることができました。
ところが、大変なのはここからだったのです。
友人が会社の上司に相談したところ、
上司は開口一番「辞めるなんて許さない」と言ったそうなのです。
うちの会社でやっていけないなら、どこに行っても同じだと恫喝されてしまいました。
転職先の社員にも間に入ってもらい、なんとか辞めることができたものの、
退職日までとても居心地が悪かったそうです。
友人が前にいた会社は、少ない人数で業務をまわしていました。
慢性的な人手不足で、機材を扱える友人が転職してしまうと、
会社にとってはかなりの痛手だったそうです。
そこで上司が、友人の転職を食い止めるためにきつい言い方をしてしまったようでした。
しかし、友人にも仕事を選ぶ権利があります。
激務で身体を壊すより、自分に合った働き方ができる会社を見つけて転職するほうが、
ずっと良いと思うのです。
「転職したいけど、人手不足で自分が抜けると迷惑をかけてしまう」
と悩んでいる人もいるでしょう。
しかし、一生懸命働くあまり体調を崩しては元も子もありません。
退職時にトラブルが起きてしまっても、転職エージェントに相談したり、
友人のように転職先の社員に間に入ってもらうことも可能です。
各方面と話し合いながら、転職活動をスムーズに進められると良いですね。