在職中は、毎月の給与から所得税や住民税を天引き(源泉徴収)され、
年末には確定申告の変わりに会社が年末調整をしてくれていたため、
給与以外に一定額以上の所得がなければ確定申告をする必要はありませんでした。
しかし、退職後は自分で収入を計算し、確定申告することが必要になります。
退職後は納税者として全てを自分で処理することになるのです。
※なお、失業給付や傷病手当金には、所得税も住民税もかかりません。
数ある税金の中でもサラリーマンに関係のある税金は所得税と住民税です。
所得税は個人が得た、あらゆる所得にかけられる税金で、
住民税は前年1年間の総所得に対して課税されます。
年度の途中で退職した人は、確定申告をすればたいてい税金がもどってきます。
なぜならば、毎月源泉徴収されていた所得税は
1年間勤めることを前提に見積もって計算されているので、
普通は払いすぎになっているからです。
ただし、退職後の出費としてつい忘れがちになってしまいますが、注意したいのが住民税です。
完全に忘れていると退職後に思わぬ負担となることがあります。
毎年5月ごろ、住民税の納税通知書が送られてきますが、
退職後の最初の通知書の税額には驚く人が大勢います。
住民税は前年1年間の所得に対し、
当年の6月から翌年の5月にかけて均等割りで支払うシステムになっています。
つまり、住民税は前年の所得にかけられ「1年遅れてやってくる」ということです。
※新卒で入社した1年目は住民税がかからないのはそのため。
退職月で変わる住民税
①1月~4月に退職の場合
前々年の所得に対する住民税の残額を給与から一括で天引きされる
(例えば、3月退職の人は最終分の5月までの3か月分が差し引かれる)
②5月退職の場合
通常通り5月分のみ給与から天引きされる
③6月~12月に退職の場合
前年の所得に対する住民税の残額
(つまり退職月までに納付した税額と年間税額との差額)を個人で分割払い
以上のように、退職月によっては、一括で天引きされて驚くことがあるので、
生活費として普通預金をある程度用意しておくと安心できます。
住民税の納税猶予
退職後、収入がなくても、住民税の納付書が容赦なくやってきます。
「退職してから収入がなくなって住民税の支払に苦労した」
という話はよく耳にします。
そこで救済措置として、住民税の納税猶予という制度があります。
やむをえないとされる場合は最長2年まで支払の延期を認めてもらえます。
税金が払えず、滞納したままほったらかしにしていれば、
年利14.6%の延滞金がのしかかってきます。
納税の猶予が認められた場合は延滞金の半分が免除されます。
さらに、支払える範囲で少しずつ税金を納める分割納付や、
納税を猶予してもらっても、とうてい払えない状況であれば、
税額の軽減や免除が認められるケースもあります。
納付期限が過ぎたものに関しては、後から頼んでも受け付けてもらえませんので、
払えないとわかったら急いで役所へ駆け込みましょう。