私は49歳、男性、会社員です。
昨年、動脈解離という病気になり入院、手術をして
長い間、会社を休職していたのです。
動脈解離は血管が裂ける病気で
その後、動脈瘤、そして内臓の梗塞を起こしたため、
休職した期間がかなり長期になってしまいました。
その間、健康保険の傷病手当金を受給しました。
私の会社には健康保険の傷病手当金の他、
有給制度と会社独自の傷病欠勤手当という制度があります。
ですので、私はまず有給制度と傷病欠勤手当を使ったのち、
健康保険の傷病手当金の申請をしました。
結果的には健康保険の傷病手当金は最大の1年半年の期間、受給していたことになります。
健康保険の傷病手当金を受給する前は
有給制度と会社独自の傷病欠勤手当の受給を受けていたのですが、
こちらは給料が満額出るので、生活には全く困らないでいました。
けれども有給は40日、傷病欠勤手当は90日と限度があり、
この日数が経った後に健康保険の傷病手当金の受給を開始した訳です。
傷病手当金は簡単に言うとそれまでの標準報酬月額の2/3が支給の上限となります。
給料の満額分が保証される訳ではありません。
また、ボーナス分は加味されませんので、
正直、健康保険の傷病手当金だけでは十分に生活を支えてくれるというものではありません。
一方で、私の勤める会社は、有給制度と傷病欠勤手当を使い切ると、
今度はGLTDという保険からの給付を受けることが出来る制度がありました。
これは病気や怪我で働けなくなった場合、
最長60歳まで給料の損失分を補填してくれるもので、
私の会社の場合は公的補償を除いて標準報酬の20%が保険として支給される仕組みでした。
そして個々の社員がその上乗せとして任意加入でGLTDに入るという制度もあり、
私はさらに10%分の上乗せ制度に任意加入していたのです。
そういったことで、私は健康保険の傷病手当金の支給を開始されてからは
標準報酬月額の1/3相当分が収入が減っていたことになりますので、
その部分を補うものとして会社からと任意加入していた分のGLTDの支給を受けました。
正直、この支給は生活を支えてくれ、とても助かりました。
もし、健康保険の傷病手当金だけだったとしたら、
貯蓄の大部分を取り崩していなければならなかったと思います。
一方で、療養中の私はいつ病気が治るのかとても不安にかられていました。
健康保険の傷病手当金の支給は1年と半年で支給が終わってしまいます。
もし、この期間で病気が治らなかった場合、
我が家の収入の大きな部分が途絶えてしまうことになります。
そういった焦りが私の病気の治療の大きな障壁になっていたことは事実です。
健康保険が労働者の生活を守ることが目的だとしたら、
1年と半年という支給期間は明らかに短すぎるとその時感じました。
病気や怪我で働けない状態とは誰にでも起こる訳ではありません。
けれど、もし万が一にも自分がそういった境遇に陥ってしまった場合、
人生のリカバリーを図ることが到底出来ない、最悪の事態だと言う事が出来ます。
なのに、本来は労働者の生活を守ることが目的であるはずの健康保険が
そういった最悪のケースにリスクヘッジ出来ていないということは、
当時の私には本当に理不尽な事のように思えたのです。
そんな焦りもありましたが、
一方で何が何でも健康保険の傷病手当金が支給されている1年と半年の間で
私は病気を克服しなければ我が家の家計は崩壊すると思い、私は治療に専念したのです。
入院中もベッドの上でおとなしくしていましたし、退院後の自宅療養中も摂生に努めました。
その甲斐もあり、なんとか私は医師より仕事復帰することの許可をもらい、
職場復帰することが出来ました。
それでも長期にわたり休職をしていたのですから、
復職後はしばらくリハビリをかねて時短勤務をさせていただき、
体が社会生活に慣れるまで少し時間を要しました。
傷病手当金を受給される方に私がアドバイスをするとすれば、
有給を全て使い切ってから傷病手当金を請求するのではなく、
有給制度は少し残しておいた方が良いと思います。
職場復帰したとしても長期に渡る療養であれば、
復職した後も通院を要する事も大いに考えられ、
その時有給がないと欠勤扱いとなり給料が減ってしまいます。
私の経験では月1ペースの通院として1年くらいは通院が出来るように
10数日は有給期間は残しておいた方が良いのかなと思いました。
また、健康保険の傷病手当金は最大標準報酬月額の2/3までしか支給されません。
子供がいるような家庭ではボーナスも減ってしまうため
なかなか家計に大きな打撃を与えてしまいます。
また健康保険の傷病手当金は最大1年と半年までの支給であり、
少し大きな病気をするとその期間で社会復帰出来ないことも大いに考えられます。
そんな場合に備えて公的補償である傷病手当金だけに頼るのではなく、
任意で加入する保険も検討しておいた方が良いと思います。
最近では生命保険会社などから病気や怪我で働けなくなった場合、
最長60歳くらいまで給料の損失分を払ってくれる保険が登場しています。
そんな保険に入っていれば、傷病手当金の受給を受けている時に
受給期間が終わったらどうしようという不安に悩むことなく、
治療に専念出来るはずです。