1年ほど前まで東京の広告代理店に勤めていました。
私の仕事は営業の方が取ってきた仕事を売り上げ入力用のシステムに入力することと、
完了した仕事の請求書を発行するために必要な書類を営業の方から集め経理へ提出し、
経理が発行した請求書をクライアントへ発送することでした。
売り上げが好ましくなかったせいか、
ある時から売り上げについてのルールがいろいろと変わってきました。
(売り上げが悪いわけではなかったと思いますが、
大手の同業他社に追いつけ追い越せだったんだと思います。)
例えば30万円以上であれば確実に収入が見込めない案件でも
売り上げとして報告するというルールです。
なので営業の方がクライアントにとある案件の見積書を作成し、
その仕事が実現しなくてもクライアントが見積書にサインをしてくれれば
(見積書チェックしたよという意味のサイン)
売り上げとするというものです。
だんだん上からの指示でその見積書の収集を少しでもたくさん集めるようにとの指示が増え、
営業の方々もクライアントをだますようにサインをもらってくるようになり、
それを私たち事務の人間が売り上げとしてシステムに入力し、
上へ報告するという流れが多くなってきました。
架空の売り上げを上げることに疑問や罪悪感を持つ人が増えていき、
転職する人がかなり増えてきたため、私も面倒なことになる前に退職を決めました。
精神的に病んでしまい休職や退職する人もいました。
退職する際に上司から退職理由を聞かれ、
それとなくこの仕事への疑問を上司へぶつけてみましたが、
売り上げを上げることに必死になりすぎているせいか、
あまり上司は架空の売り上げに疑問を抱いていないようで、
それを見た時も「退職を決心して良かった」と心から思いました。
今現在も残っている社員の方に話を聞いたところ、
まだ架空の売り上げ計上のルールは続いているそうです。
そして残っている営業やクリエイターの人たちは同業他社に転職できなかった人も多いそうです。
退職する際に上司の提案で豪華にランチ(都内の某料亭のランチ)送別会が開催されました。
「会社のお金だから気にせず楽しみましょう」とのことでしたが
架空の売り上げだらけでどこからお金が捻出されているのか不思議でなりませんでした。
(営業さんなんかは接待の費用も細かく制限されているのに、
私たち事務員が無制限で贅沢できる状態です。)
もう退職を上司に伝えてからはどうでもよくなってしまい、
突っ込むこともしませんでしたが。
不正な売り上げ計上についてそのうちニュースにでもならないかなと思っていますが、
メジャーな広告代理店ではないので、見ることはないかもしれません。