私の友人は、製薬会社に勤務していました。
医大系の生物学科を卒業後、ストレートで就職し、
営業職として仕事をスタートしました。
個人医院や大学病院などを回り、薬のセールスをする仕事です。
営業の仕事はとても大変で、女性には辛いと、
就職してから数ヶ月後に会った時に話をしていました。
しかし指導担当がとてもいい人で、職場環境は良く、
もう少し頑張ってみようかなと、話をしていました。
その当時、私も働いていましたので、彼女が就職してからは、
なかなか時間が合わなくなってしまいました。
次に会ったのは、半年後でした。
半年後に会った時、彼女は営業ではなく、
同じ会社で、管理部門の秘書のような仕事をしていました。
営業、コールセンターを経て、その職場になったようです。
やはり、女性に営業は辛いと言っていました。
新しい部署は、中堅どころの管理職の男性がたくさんおり、女性は彼女一人でした。
完全な秘書業務ということだったようです。
おじさん達の相手をするのは大変だけど、慣れれば楽な仕事だよ、
とその時は話していました。
次に彼女と会ったのは、それから2年後。
私が出産などでバタバタしていたため、時間が空いてしまいました。
彼女はもともと、とても明るく、はつらつとした女性でしたが、
その時はやや疲れていたように感じました。
以前と変わらず、その管理部で秘書の仕事をしていました。
しかし、仕事には嫌気がさしていたようです。
それというのも、彼女の上司であるおじさま方が、
つまらない用事ばかり押し付けるからとのことでした。
仕事に、やりがいが見いだせなかったようです。
それからさらに1年、今度は、職場を辞めようかなと話していました。
自分でやりたいこともあるということも、話していました。
いつもの笑顔や元気は無く、とても心配になりました。
連絡が途切れてしまったのは、それからほどなくしてのことです。
いつも来ていた年賀状が、来なかったのです。
メールをしても、返事はありません。
私が子供を抱えていた為、彼女と会う時には、
いつも自宅に来てもらっていましたから、
付き合うのが億劫になってしまったのかなと思っていました。
しかし、違いました。
実は、彼女は体調を崩して、実家に戻っていたのです。
退職した次の年、彼女からの年賀状が復活し、初めてわかりました。
聞けば、職場に後輩が入り、指導にあたっていたのですが、
なかなか難しい人物だったようで、彼女のほうがストレスでやられてしまったのです。
彼女にとっては、初めて入った後輩でした。
しかし、とてもネガティブ思考な人物だったそうです。
男性だったのですが、あまりやる気が感じられず、
いつも「はぁ」とか「そうですか」とか気のない返事しか無かったそうです。
指示を出しても、動く気配も無く、会社は休みがち。
話しをする場を作っても、聞いているのかいないのかという状態だったそうです。
彼女は職場での信頼が厚かったので、上司は彼女に指導を一任し、
手助けをしようとはしてくれませんでした。
彼女も上司を頼ろうとは思っていなかったようです。
なんとも頼りがいのない上司でした。
結果、後輩はどうしようもなく、上司に頼ることもできす、
彼女は精神的に追い詰められてしまいました。
なんだか体調が優れないと思っていた矢先、
会社の健康診断で、胃にポリープが見つかりました。
まさか、と思ったそうです。
それを機に、自分を見つめ直すことにした彼女は、退社を決意しました。
私に連絡をくれたのは、ポリープの手術が終わり、
気持ちが少し上向いた時、退職から実に半年後のことでした。
彼女は、いつも明るく、ハツラツとしていました。
しかし、連絡が途切れる前に会った彼女は、明らかに元気がありませんでした。
退職に至ったのは、仕方のないことだと思います。
今は療養に専念し、また気力が戻ったらどうするか考えると話していました。
全て、職場に恵まれ無かった結果だと思います。