病気やけがといったアクシデントは、どんな人でも可能性まで含めるとリスクは共通です。
例えば趣味であるサッカーを休日に楽しんでいたら、
転んでしまい足を打撲してしまう。
誰にでも考えられるリスクです。
あるいは近年はストレスとの戦いと言われている関係もあると思いますが、
心が落ち込む、物事に興味や関心が湧かなくなった、
ベットに入ってもなかなか寝付けない等。
どんな人でも心を持っている以上、誰にでもあり得ることです。
少々のけがや病気であれば、普通の日常生活を営む上では大きな支障もなく、
仕事をして自分自身や家族の生活を支えていくことについて
特段問題のないケースも多いとは思います。
しかし、転倒して両手両足を骨折してしまった。
心が落ち込み、寝付けない。
自分でも異変に気づきだし、周りの人からも様子がおかしいと指摘されている。
そんな状態が2週間程続いているため、心療内科へ通院。
診断結果は「うつ病」。
精神疾患にかかってしまった。
このような状態になってしまうと、
1日や2日といったごくごく短期間の話ではなく、
数週間あるいは場合によっては数か月、仕事を休む必要がでてきます。
もちろん勤務している会社には迷惑をかけることになるため、
休むことへの理解を求め了承してもらう必要はあるかと思いますが、
自分自身の生活はどうしようか?
きっとこの問題にぶち当たると思うんです。
いわば自分の都合によりけがをした。
自分に原因があって病気にかかってしまった。
仕事を休む。
休んだ以上、会社からのお給料はもらえなくなる。
生活の糧がなくなってしまった。
生活はどうしようか?。
こういった具合です。
このような場合、自分をサポートしてくれる強力な味方になってくれるのが、
職場にある保険制度で、
従業員や法人(株式会社)の代表取締役をはじめとした役員も含めた
いわゆる会社に使用されている立場の人が加入している
健康保険制度に規定されている「傷病手当金」というものになります。
健康保険では、けがや病気(原因:仕事とは無関係の私傷病)などの際の治療費の支給の他、
収入がない場合の所得保障や出産費用の補填なども、
保険給付の対象となるアクシデントになっているため、
ちょうど収入がない場合の所得保障に該当するのが傷病手当金ということになります。
このように本当に収入がなくて困った場合に味方になってくれる傷病手当金であるわけですが、
一部の人を除くと、あまり世間に向けての制度の周知が十分ではないということから、
活用できない人も多いと思っていますので、
うつ病(原因は仕事とは無関係の私傷病)を例にあげながら、
受給するための支給条件や支給期間、支給の手続きなどについて確認していこうと思います。
【支給条件】
心が落ち込んだ。眠れなかった。
家族からうつ病かもしれないから、心療内科への受診を勧められたため、
会社に連絡。
休業を開始する。
(休業開始を9月1日に設定)
傷病手当金の支給条件として、この会社休業が連続3日間あることが必要です。
(会社休業日:9月1日~3日)
連続3日間が支給条件のため、通算3日間では条件を満たしたことになりません。
(例えば9月2日は勤務すると、1日、3日、4日が休業でも条件を満たしたことになりません)
この連続3日間が健康保険でいう所の待期期間という評価になり、
本当に病気等なのか?を様子を見ている期間となります。
この連続3日間については、有給休暇がある人で充当したりして、
給料がもらえるようにしたとしても支給条件的には問題ありません。
この連続3日間の待期期間については、
すべての支給条件をクリアして傷病手当金が受給できたとしても、
手当金をもらうことができないからです。
この待期期間の他、働くことができないこと。
連続3日間の待期期間経過後の休業4日目から手当金受給期間になりますが、
この期間は無給であることが支給条件になります。
【支給期間】
支給期間の始めは連続3日間の待期期間経過後の休業4日目からです。
では支給期間の最後はいつになるか?
同じけがや病気(例えばうつ病)が原因の場合、
支給開始から暦で数えて1年6か月経過した日が支給期間の最後になります。
もちろんけがや病気が長期間続き、労働できない期間も長期化した場合は、
継続して1年6か月受給する場合もありますが、
途中でうつ病が治癒、労働可能となり、お給料がもらえるようになれば、
傷病手当金の役割は終了するため、受給は終了。
ただし特に病気(うつ病)の場合は再発(ふたたび労働できなくなる状態に戻ること)
がたびたびあるため、1年6か月経過するまでの期間内であれば、
再度傷病手当金の受給をすることは可能になります。
【支給の手続き】
支給の手続きについては、傷病手当金の支給申請書を記入して、
健康保険の保険者(保険の運営者:現在は協会けんぽか健康保険組合)に提出することが必要です。
これは傷病手当金の場合に限られませんが、
保険料の納付はいわば自動的に徴収されていきますが、
保険給付の請求は自分からしていくことが必要となります。
そういう意味でも、「こういう手当金があるんだ」という存在は最低限認知しておくことが大切です。
支給申請書には診療担当医師の証明、
会社側による出勤状況・賃金支払い状況に関する証明を記入によりしてもらって、
その他必要事項を記入して提出することになります。
【まとめ】
傷病手当金制度を知り、万が一の時にはその支給を受けて、
しっかり安心してけがや病気の完治に心がけましょう。