傷病手当金は、病気で働けないときの休業補償の役割を果たすものです。
完全に会社を休まなければならないような、
入院の最中や骨折などで動けない状態であれば、
もちろん会社に行けないので受給する要件は満たしているといえるでしょう。
しかし、その後、退院して、月1回の通院に切り替わったり、
骨折でも松葉杖で歩くことができたりしたときでも、
貰い続けることができるのでしょうか。
無理をすれば働けそうな気がしなくもありませんが、そのあたりはどうなのでしょう。
答えは、医師の傷病手当金の意見欄の書き方次第です。
傷病手当金は、「被保険者が病気やケガのために会社を休み、
事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます」
と全国健康保険協会のホームページに定義がうたわれています。
この文章のとおり、どれだけの重症で、どのような症状の時とは書いてありません。
「被保険者が病気やケガのために会社を休んだ場合」
とだけしか表現していません。
でも、実際は、ただ単に会社を休んだだけでは、傷病手当金をもらうことはできません。
傷病手当金をもらうためには、
医者から「労務不能(この人、働くことができない)」という証明を貰う必要があります。
極端な話、仕事の内容が、自分のデスクから滅多に動くことのないようなデスクワークで、
利き腕が右手の方が、左手首を捻挫したとします。
普通に考えると、仕事ができますし、この程度ならと、本人も仕事を休むことはないでしょう。
しかし、これが土木作業員だった場合どうでしょう。
いくら利き腕ではないにしても、仕事に影響が出てしまいます。
下手すれば、重大な事故にも繋がりかねません。
このような場合に医師は、
前者の場合、傷病手当金の労務不能の証明はしてくれないと思います。
でも、後者の場合は、労務不能の証明をしてくれる可能性が高いです。
この労務不能の証明は、はっきり言って医師のサジ加減です。
上記は仕事内容の違いでしたが、同じ症状の患者でも、
Aの医師は証明してくれるけど、
Bの医師は証明してくれないという場面もあります。
この場合、Bの医師を恨んではいけません。
裏を返すと、Bの医師は
「もう十分に働ける。底まで悪い状態とはいえないので早く社会に復帰してくれ」
という意図を込めているのかも知れません。
いわば、まじめな判断をしてくれている可能性があります。
いっぽう、Aの医師の場合、患者本位で考えているとも言えますが、
「ここで証明しないと悪い評判が立てられる」
「傷病手当金の交付料がもらえる」
と考えている可能性もあります。
「こんな状態でも医者は労務不能の証明をするのか」という話
私の友人で傷病手当金を1年6ヶ月、フルに貰った人がいます。
傷病名は「うつ病」です。
躁うつではなく、抑うつのほうでした。
医者にとっても、うつ病の労務不能の判断は非常にむずかしい部分だと思います。
血液検査で症状の度合いが分かるわけでもない
(現在の医学では分かることもあるようですが)、
骨が折れているとかの証拠があるわけでもない。
うつ病の労務不能の判断は、
恐らく患者本人の言ったセリフそのとおりで判断されているのではないか
と考えてしまう事例でした。
確かに、貰い始めた3ヶ月ほどは、こちらが心配するほど症状は悪いように思いました。
薬も飲んでいて、この状態であれば、傷病手当金を十分にもらえるだけの状態と考えられました。
でも、1年が過ぎようとしていた頃には、病院への通院も2ヶ月に1回。
日中はパチンコに行き、家ではネットゲーム。
挙句の果てには、「飲みに行こう」「○○に遊びに行こう」と、
あちらから誘いが繰るような状態でした。
こんな状態になっても、傷病手当金を貰い続けることができました。
傷病手当金が貰えるということは、
医者から「この人、仕事できない。労務不能です」という証明が出ているはずです。
通常生活にほぼ支障がないほどに回復しているのに、
医者から労務不能の証明を貰う時だけ、具合が悪そうな演技、発言をしているのではないかと、
仲間内みんなが思いました。
この状態でも貰い続けていることに違和感を覚え、
傷病手当金を貰っているということを知っている仲間達は、何か面白くなく、
私も含め友人の誘いは何か都合をつけて断るようになりました。
友人は、仲間を失うという痛手を負ったのですが、
傷病手当金を貰い続けていたということは事実です。
医者さえ、労務不能と証明してくれれば、
傷病手当金は期間満了となる1年6ヶ月の間、貰い続けることができます。
このように、傷病手当金を貰うために必要となる医者の「労務不能」という証明は、
やりようによってはすぐに貰うことができます。
うまくやると、軽い頭痛程度でも貰うことができるかもしれません。
ただ、このように軽い症状で傷病手当金をもらったり、
傷病手当金の受給要件の1つである「事業主から十分な報酬が受けられない場合」
単純に言えば、会社を休むことになりますので、
はたして、その後の信頼や今までどおりの信頼を維持できるかというのは、
また別問題として考えてください。
あまりはでにやりすぎると、私の友人のようになってしまいます。